本宮一中ニュース(H29年度~)

2017年5月の記事一覧

「人間が一番努力できること」

2学年通信「スクラム」(平成29年5月19日発行)から
 
   先日、「コーチングの重要性」という講演を聴きました。「コーチ」という言葉の語源は「馬車」だそうです。「大切な人たちを目的地まで安全に確実に送り届けること」というのが、そもそもの意味だそうです。「馬車」がやがて「長距離客車」に変わり、「家庭教師」へ、そして「競技の指導者」へと変化してきました。「大切な人たち」を「子どもたち」や「選手たち」におきかえて言葉の意味が変化し、定着しているのでしょう。
 戦前や終戦直後の日本のコーチは『命令・絶対服従型』でした。「自分はこれをやって成功したからおまえもこれをやれ」「はい」というものです。そこそこの選手は育つものの、それ以上の選手は育ちません。それは怒られるのが嫌でする練習で、結局は「指示待ち族」しか育たないからです。東京オリンピックの惨敗を機に『命令・絶対服従型』の指導からの転換が図られました。そして『質問・提案型』が主流となります。質問することにより、考えることが習慣となります。自分はどうしたいのか、それを実現するためにどうしたら良いのか等を考えることにより、「指示待ち族」とは違う選手が育つのです。講師は言いました。
 
   「人間が一番努力できることは、自分で決めたこと。そしてそれを言葉にしたことだ。」
  だから、教え込むのではなく、考えさせることが大切だというのです。そして今の主流は『質問・気づき・気づかせ・提案型』だそうです。質問することにより選手の考えや実態・課題等にコーチが気づき、必要なことを気づかせる。そのために提案を繰り返すというものです。そして、コーチは答えをわかっていても決して口にせずに、本人に気づかせるために提案を繰り返すのです。時間もかかるし忍耐も必要です。しかし、そのような過程を経て本人が気づき、決意したことだから100%の力で努力するのです。
  「コーチ」を「親」や「教師」におきかえてみませんか。『命令・絶対服従型』は簡単ですが、限界があります。また、導く際に目線を下げて「叱る」という姿勢で臨むことの大切さも話されました。「怒る」のは感情であって、ストレス発散に過ぎないというのです。「叱る」のは理性であって、情熱・熱意で導くということです。『命令・絶対服従型』から『質問・気づき・気づかせ・提案型』への意識改革、いかがでしょうか。  
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