第１学年通信「スクラム」（平成２８年６月２４日発行）から

　　「甲子園塾」という企画がスタートして９年目になります。各都道府県から推薦された若い指導者を甲子園に集め、今は現場を離れている甲子園で実績のある優秀な指導者が指導をする、そして「甲子園の魂」を全国各地に普及するという企画です。福島県高野連の指導者講習会が中学校にも門戸を開いて下さり、私も参加させていただきました。技術指導や精神面の指導に「さすが」と思うことがたくさんありました。その中の一つに、星陵高校元監督の山下智茂さんの、このような話がありました。
 
   最近の子供達は叱られることに慣れていない。なぜ叱られているのか理解できず、感情を
表に出す選手も多い。叱られたときに
　　　四流の選手は、野球（部活動）をやめてしまう。
　　　三流の選手は、ふてくされたり下を向いたりする。
　　　二流の選手は、「わかりました」と答える。
　　　一流の選手は、良い表情で「ありがとうございました」とさわやかに答える。

　自分に足りないところを指摘して向上させていただいているという意識があるから「ありがとうございました」と心から言える。そのような意識を育てられるように、毎日の指導の積み重ねがあり、心と心の絆を強くしなければならない。　
   
   山下さんは毎日すべての選手と最低３分はいろいろな話をし、内面を把握したそうです。部員数が多くなるほどに難しいことですが、実践するからこそ絆が強くなるのでしょう。感情的に「怒る」のと理性的に「叱る」のとは違います。国民栄誉賞を受賞した松井秀喜さんも山下さんの教え子です。先週、ほめることの大切さについて述べましたが、山下さんは毎日最低３分以上の会話から一人一人の心を開拓しているのですね。それがベースとなっているからこそ、「叱ってもらえるのは自分を向上させようと思ってもらえているから｣という考えを持てるようになうのです。学校でもご家庭でも、心を育て、お子さんを大きく成長させましょう。